トラブルシューティング
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切削油のトラブルシューティング

 

加工上の問題点

現象 原因 対策

摩耗により工具寿命が急激に増大する。

刃先の潤滑性が不足の為、機械的な摩耗が生じる。 1. 脂肪油分の多い不水溶性切削油を選ぶ。


2. 活性タイプの油剤を、不活性タイプの油剤に変更する。


3. 劣化が激しいときは新液に変える。


4. 給油量、給油圧を増大して逃げ面に直接油剤がかかるようにする。


5. 水溶性切削油剤の場合、潤滑性が優れ極圧添加剤を含有している。エマルション系を高濃度にして使用する。        

刃先の溶着チッピング。 抗溶着性が不足している為、構成刃先が異常発生した。

チッピングにより刃先の損傷と脱落により、摩擦摩耗が生じた。 

 

1. 活性度の高い油剤に変える。    

2. 水溶性切削油の場合、潤滑性が優れ極圧添加剤を含有しているエマルションタイプを高濃度にして使用する。

過度の発熱による工具寿命の低下。 工具刃先での畜熱に対して、冷却が不十分である。  1. 油性切削油を水溶性切削油に変える。

2. 給油量、給油圧を増大する。

3. 油剤の温度を一定に保つ。

4. 低粘度の油剤を使用する。

 

精度不良 1. 油剤の冷却が不均一、もしくは不十分である。

2. 構成刃先の付着。                             

1. 油剤を十分給油する。

2. 油剤の温度を一定に保つ。

3. 活性度の優れた油剤に変える。

 

水溶性油剤に変えたら、極端に工具寿命が低下した。 1. 工具材種の不適合。

2. 油剤固有の性能差による潤滑性不足。

3. 運転条件の不適合。

 

1. 水溶性切削油剤に適合した工具の選択。

2. 潤滑性が優れ極圧添加剤を含有しているエマルション系を高濃度にして使用する。

3. 水溶性切削油剤に適合した運転条件に設定する。

水溶性切削油剤使用中にだんだん工具寿命が低下する。 1. 漏油混入による添加剤濃度の低下。

2. 水だけを補給した為、濃度が低下。

1. 新液に入れ替える。

2. 漏油混入防止対策を行う。

3. 使用液濃度チェックして新液を補充する。

仕上げ面が悪い。 1. 潤滑性が不足し構成刃先が付着。

2. 切屑の溶着によるキズ。

1. 活性度の高い油剤に変える。

2. 微細切屑を除去するためにろ過法の改善。

3. 切屑が搬出されやすくなるように給油法を改善する。

ドリル、タップ、リーマの焼付きと破損 1. 刃先で油切れが生じ、潤滑性が不足。 

2. マージン部の潤滑不足。

1. 給油量を増す。

2. 潤滑性、抗溶着性の優れた油剤に変える。

3. 水溶性切削油の場合、潤滑性に優れ極圧添加剤を含有しているエマルション系を高濃度にして使用する。


使用管理の問題点(水溶性切削油剤の場合)
現象 原因 対策
工作機械、加工部品等に錆が発生した。 1. 加工液の濃度が低下している。
2. 加工液のp Hが低下している。
3. 液中の防錆添加剤が消費された。
4. 使用液が腐敗等で劣化している。

5. 工程間の部品の滞留が長すぎる。

6. 近くの酸洗浄タンクよりガスが発生し、これにより曝される。

7. 異常環境下である。

8. 加工部品の洗浄が不充分である。

 

1. 濃度測定を行い、適正濃度にする。 

2. 防錆添加剤を投入する。

3. 濃度を上昇させる。

4. 使用液を交換する。

5. 錆止め剤を塗布する。

6. 加工後の洗浄を適切に行う。

電気系統が故障する。 1. 切削油の浸透性が高い。

2. 飛散した切削油に吸湿性がある。

 

1. 電気系統に浸透しにくい油剤に変更する。

2. カバー、シール材構造を変更する。

エマルションが分離、転相、沈殿物が生じる。 1. 希釈方法が悪い。

2. 漏油が多量に混入している。

3. 腐敗している。

4. 希釈水の硬度が高い。

5. 使用中に切削液の硬度が上昇する。

1. 水に原液を投入し、希釈液を作る。

2. 漏油防止、浮上油を回収する。

3. 防腐剤、もしくは原液を補充する。

4. 新液と交換する。

5. 硬度の低い希釈水に変更する。

6. 分離しにくい油剤に変更する。

7. 定期的に交換する。

 

工作機械の塗料が剥離する。 加工液中のアルカリ、界面活性剤が塗料に影響を及ぼす。 1. フタル酸系の塗料は剥離しやすいのでビニル系かエポキシ系の塗料にする。

2. 塗料に影響が少ない油剤に変える

 

泡立ちが激しい。 1. 加工液の濃度が高い。

2. 工作機械の構造上、泡立ちしやすい。

 

1. 水で希釈する。

2. 消泡剤を用いる。

3. 工作機械廻りもアレンジを変えてみる。

4. 油剤の種類を変える。

腐敗しやすく、液の交換頻度が高い。 1. 加工液の管理が不充分である。

2. 加工液の防腐性が不足である。

3. 漏油、切屑の混入が多い。

4. 工作機械の停止期間が長い。

5. 希釈水が不適当である。

 

1. p H、濃度管理を徹底する。

2. 定期的に殺菌剤を投入する。

3. 漏油、切屑の除去装置を付ける。

4. 分離性の優れた摺動面油を用いる。

5. エアブローする。

6. 良質の希釈水を使う。

加工液が赤色化する。 水酸化鉄が生成する。 1. 加工の除去、防錆剤の投入。

2. 濃度を用いる。

 

フィルターの目詰まりが早い、パイプが詰まる。 1. 腐敗が進行し、分離油がヘドロ状の物質になった。

2. 加工液中にカビ、スライムが発生。

1. 新液と交換する。

2. 防カビ剤を投入する。 

シール材が変質する。 切削油剤により、シール材が劣化する。 ハイニトリル、フッ素系の材質に変更する。



使用管理の問題点(不水溶性切削油剤の場合)

現象 原因 対策
ベット面などに、しみが発生した。 金属面と切削油剤成分とが反応。 1. 作業終了時には清浄にする。

2. 油剤中の混入水分をチェックする。

3. 極圧添加剤の反応性をチェックする。 

4. 劣化した油剤は交換する。

銅合金の変色、腐食が発生した。 切削油剤成分と銅合金が反応。 1. 銅合金の油剤の適合性をチェックする。

2. 劣化した油剤は交換する。

3. 変色防止剤を投入する。

 

滑り面に付着物、摺動不足。 滑り面に異物が。溜まった。 1. 定期的に清掃する。

2. 劣化した油剤は交換する。

3. 酸化安定に優れた油剤を選ぶ。

フィルターの目詰まりが早い。 1. 劣化して粘度が上昇した。

2. 切屑が分離されていない。

 

1. 劣化した油剤は交換する。

2. 酸化安定に優れた油剤を選ぶ。

3. 切屑除去装置を改良する。

油剤が発煙。 1. 油剤そのものの特性による。

2. オイルミストによる。

 

1.水溶性切削油に変える。

2. 粘度の高い油剤に買える。

3. 切屑についている油剤を完全に除去する。

4. ミストコレクターを付ける。

5. アンチミストタイプの切削油に変える。

 

 

安全衛生上の問題点

現象 原因 対策
皮膚炎 1. 溶剤または低粘度石油製品による脱脂。

2. 不水溶性切削油による油負け。

3. アルカリ性界面活性剤による脱脂と刺激。

1. 皮膚刺激性の少ない油剤を選ぶ。

2. 作業者自身が身の回りを清浄にする。

3. 油剤に適した保護クリームを塗る。

4. 油剤飛散防止装置を設置する。

5. 使用油剤管理を行い、劣化や腐敗を防止する。

6. アレルギー体質のある作業者は配置転換する。

7. 洗浄溶剤等になるべく触れないようにする。

工作機械周辺の悪臭。 1. 漏れた水溶性油剤が腐敗した。

2. 発煙に伴う油剤成分のガス化、分解生成物のガス化。

 

1. ダクトを設ける。

2. 給油量を多くする。

3. 油剤を変える。

発熱が激しい。 1. 油剤の冷却性不足。

2. 油剤の潤滑性不足。

1. 冷却性の高い油剤を使用する。

2. 潤滑性の高い油剤を使用する。

3. 水溶性切削油に変更する。