水溶性切削油の性能評価
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水溶性切削油剤の性能評価

 「水溶性切削油剤の性能」と一口に言っても、その内容はきわめて幅広いものを含みます。
実際に油剤を使って加工を行う方からは「切れる=性能がよい」ということになりますし、油剤を管理する側の方からは、たとえば「腐りにくい=性能がよい」という見方もあるかもしれません。また一方で、加工工場の周辺に住む人たちなどから見れば、「環境に優しい=性能がよい」という見方もできます。
 
 とはいえ、「水溶性切削油剤=金属加工の際に使われる油剤」ですから、まず第一にあげられる性能は「効率、精度よく切削加工を行わせることのできる性能」です。これを「一次性能」と呼んでいます。一方、加工に関わらない性能を、まとめて「二次性能」と呼んでいます。
 
 水溶性切削油剤の一次性能、二次性能とその評価についてまとめると以下のようになります。
 
一次性能
  ┃
  ┣━ 加工試験による評価
  ┃ (油剤、工作物、工具、工作機械、加工条件などを決め、寿命、精度、抵抗力などで評価)
  ┃
  ┗━ 加工試験によらない評価
    (基礎潤滑試験――ティムケン試験、ファレックス試験、四球試験など)

二次性能
  ┃
  ┣━ JIS K2241に規定された性能試験
  ┃    ┃
  ┃    ┣━ 表面張力 (浸透性などと関連する性能)
  ┃    ┣━ 乳化安定度 (乳化のこわれ易さ、こわれにくさ)
  ┃    ┣━ 不揮発分 (潤滑成分などの有効成分量)
  ┃    ┣━ pH (酸性、アルカリ性の強さ)
  ┃    ┣━ 塩素分 (塩素系極圧添加剤の量)
  ┃    ┣━ いおう分 (イオウ系極圧添加剤の量)
  ┃    ┣━ 泡立ち性 (加工時に問題となる泡の立ちやすさ)
  ┃    ┗━ 耐食性 (鋼、鋳鉄、非鉄金属を腐食させにくい性能)
  ┃                        
  ┗━ JIS K2241に規定されない性能試験
       ┃
       ┣━ 浸透性 (切削点への油剤のしみこみやすさ)
       ┣━ さび止め性 (鋼、鋳鉄をさびさせにくい性能)
       ┣━ 耐劣化性 (使用経時での性状変化)
       ┣━ 耐腐敗性 (腐敗しにくさ)
       ┣━ 抗乳化性 (混入した作動油などを浮上させる性能)
       ┣━ 廃水処理性 (使用後の凝集処理のしやすさ)
       ┣━ 保存安定性 (保存時の性状、成分変化)
       ┣━ 腐食性 (鉄、非鉄金属、塗料などに対する影響)
       ┣━ 分散性 (微細な切りくずを油剤中に分散させる性能)
       ┣━ 人体に対する影響 (毒性試験、皮膚刺激性など)
       ┗━ その他

※JIS K2241「切削油剤」
 
 一次性能の評価を加工試験によって行う場合、その試験が、目的とする加工条件と合致するか、または十分にシミュレートすることを考慮に入れて行う必要があります。
 また、JIS K2241に規定されない性能試験の場合、試験の目的や当事者によって、同じ性能の評価に異なる手法が用いられる場合もありますから、事前に当事者間で目的や手法について十分な協議を行った上で性能評価を行う必要があります。
[参考文献]
  廣井、山中、「切削油剤と研削油剤」(1982)
  竹山、   「切削油剤・研削油剤」(1972)
 
 

 
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