水溶性切削油のなかで、ベースオイル(基油)に合成油を使用し、鉱物油を含まない油剤を一般に“シンセティック油剤”と呼びます。シンセティック油剤は、成分および希釈液外観から、シンセティックエマルション、シンセティックソリューブル、シンセティックソリューションに分類されます。
シンセティックエマルションやシンセティックソリューブルは、油溶性の合成油をベースオイルとしているため、水に溶かして使用するには乳化剤を必要とし、その希釈液外観は乳白色や半透明となります。一方、シンセティックソリューションは水溶性の合成油をベースオイルとしているため乳化剤を必要とせず、その希釈液外観は透明です。
シンセティックソリューションの特長は、
・従来のソリューションタイプの油剤に比べ潤滑性が良好である。
・冷却性が良好である。
・浸透性が良好である。
・希釈液が透明で作業性が良好である。
・抗乳化性が良好である。
・機械周りの汚れが少ない。
・洗浄性が良好である。
・消泡性が良好である。
・腐敗しにくい。
・希釈液の安定性が良好である。
などがあり、切削油剤として優れた性能を有し、特に、工場環境の改善を目的に使用されるケースが多いようです。また、高い冷却性能を有することから、ドリル加工、旋削などの高速加工において、また、洗浄性、浸透性が良好なことから研削加工やホーニング加工において高い評価を得ています。
一方、シンセティックソリューションの課題としては、
・廃水処理性が劣る。
・従来のエマルションタイプの潤滑性に及ばない場合がある。
などがありますが、先に挙げた多くの特長と比較すれば、欠点の少ない油剤であり、工場環境の改善や加工の高速化に対して優れた特性を有するので多くの現場で使用されています。
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