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水溶性切削油剤の廃液処理
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水溶性切削油剤の廃液は、工業排水の中では処理しにくい含油廃水であり、簡単な装置で法規制に合格する水質にすることは困難です。特にW2種(ソリユーブル)の油剤は、水に溶けやすい有機アミンや界面活性剤を多量に含んでいるので、これらの物質を完全に除去するためにはいくつかの処理法を併用しなければなりません。
廃水の性状面ではn−ヘキサン抽出物、COD、BOD値が高く、処理装置にかかる負荷は大きくなります。
切削油剤の廃液が生じるのは劣化した使用液を新液にかえる場合であり、その発生時期や発生量が一定しない場合が多いため処理計画がたてにくい欠点があります。そこで、一般には他の排水と混合して処理されています。一定規模以上の工場では、排水処理設備を有しているため、切削油剤の廃液を他の廃液や排水と混合し、処理量や汚染物負荷を一定にして処理しています。この方が計画がたてやすく、また、処理作業が安定化するためです。
切削油剤の廃液量が他の排水量に比べて多い場合には,単独で予備処理してから他の排水と混合したり、一定期間保管して少量づつ分けて混合処理するなどの方法が採られています。
処理法には、種々の方式とその組合せがありますが、一般的な処理法を図1に示します。一次処理法として多く使われているのは凝集処理法(沈澱法、加圧浮上法等)ですが、一次処理だけで法規制に合格する水質を得ることは困難であり、二次、三次処理が行なわれます。二次処理法としてよく使われているのは活性汚泥法や散水ろ床法などの微生物処理法です。
水質規制の厳しい所ではさらに活性炭吸着法や逆浸透法などの三次処理を必要とする場合もあります。
排水の水質基準は水質汚濁防止法や下水道法によって定めていますが、都道府県条例によってさらに厳しい規制値が設定されているところも多いので、工場所在地の規制値を正確に把握して対処しなければなりません。
廃水処理を外部委託した場合の費用は、相当する切削油剤の原液価格に近い値となるといわれています。自社処理した場合の費用は、外部委託処理に比べると約1/2になります。
廃水処理費用が高いことと,処理が困難なことから、できるだけ廃液を出さないための試みが行われています。使用液をうまく管理して劣化を抑え、液寿命を延長させれば、処理頻度は少なくなり、処理費用は低減し、油剤の全費用は低下します。しかし、いかにうまく使用液を管理しても永遠に使いつづけることは不可能であり、廃水処理の問題を避けることはできません。 |
図1 水溶性油剤廃液の一般的処理
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